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不良の彼は 甘くて強引
第35章 エピローグ


匠さんがいなくなったこの世界で、わたしはずっと…あなたとの思い出にすがって生きてきた。



「このベンチだって…大切な思い出だよ…」




わたしがここで居眠りしていた時に、何故だか突然目の前に現れたのが匠さん。



あの頃は…本当に
あなたに為されるがままだったな。


怖いのとドキドキするのとで

逆らうに逆らえない。


そんな中で、彼に惹かれつつある自分を認めるわけにいかなかったからずっと意地を張っていたわたし。




そんな意地を、彼が少しずつほどいていってしまった。




傷つきたくないがために、なるべく地味に…単調に描いていたわたしの日常に、あなたは自分の色を塗りつけてきた。


それは時折、息を呑むほど美しかったり

激しかったり優しかったり

これ以上ないってくらい哀しい色だったり…。





そして結局


あなたの描くキャンバスに魅力されたわたし。


あなたは…わたしの心を奪っていった。






浴衣祭り


そして海───





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