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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第18章 視線
「あいつは自分がいかに幸せか、分かっていないんだよなぁ」

(ふん・・・何を言ってるのよ)

相槌を打つ気にもなれない。

「何なら、俺が代わってやろうかって、言ったんですよ」

だが、話題がセクハラじみた感じになると、香奈子は眉をひそめた。

男は大きな身体をソファーから浮かし、テーブル越しに顔を近づけてくる。

「奥さん、ちゃんと可愛がってもらっていますか?」

脂ぎった唇から卑猥な笑みが漏れている。

押さえていた怒りが、嫌悪感と共に大きくなってくる。

「アイツの話だと、あんまりしてないみたいじゃありませんか?」

(な、何を言ってるの?この人・・・)

唐突な言い方に、香奈子は信じられぬ思いで男を睨みつけた。

「まだ三十前半なのに、セックスレス夫婦になるには早すぎるんじゃないですか?」

余りの無礼さにスックと立ち上がった。

「し、失礼じゃないですかっ・・・」

大きな声を出す唇が、小刻みに震えている。

「勝手に決め付けないで下さいっ」

(何よっ・・・・何よっ・・・・この男)

「あ、あなたにどうこう言われる筋合いはありません」

悔し涙が溢れてくるのか、激しく瞬きを繰り返している。

「ほほう・・・・」

男は悪びれる訳でもなく、傲慢な態度を正そうともしない。

ソファーに座りなおすと、タバコに火をつけた。

「そうですか・・・・それはそれは」

何かを思い出すように、笑みを浮かべながら煙をくゆらせている。

怒りが頂点に達しようとしていた。
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