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第5章 ⑤

「それが寂しくて元気がないんですか？」

「寂しいというか、空虚感というか。ダメだな、こんなことでそんな気持ちになっていたら。ははっ。俺は家庭教師以外の何者でもないんだから」

秋葉は空笑いをした。

「先生にとってその生徒さんは生徒以外の何者でもなかったのですか？」

秋葉は考えこんだ。

「人って、肩書き同士の付き合いでも触れ合っているうちにその垣根を超えてしまうこともあります。先生はその生徒さんにある種、特別な感情を抱いていたんじゃないですか？」

「特別って。。。。」

「それは私にはわかりません。情なのか、それとも愛なのか」

「俺にもわからないな。。ははっ」

秋葉は苦笑した。

「でも、その空虚感っていうのはすごくわかります。先生の場合は生徒さんに会えない、教えられないっていう寂しさですよね。私も最近、先生と似たような気持ちになりました」

まりんは表情を一気に曇らせた。