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第68章 （６８）

監督は仏頂面で

「本当につまらん演技だったな。君の大事なキャリアに大きな傷がついた」

ヒデは微笑み

「大事なのはキャリアじゃないんです。僕はあいつの大事なものを守ったんです。それだけで満足です」

監督はヒデを睨んで

「意味がわからん。とにかく、あんな演技をした君はもう俳優として終わりだよ」

すると、ヒデは監督の胸ぐらをつかみ

「言っとくけどな、俺は人を傷つけてまで良い演技をしたいとは思わねぇよ。勝手に終わりって思っておけよ。俺は絶対負けないからな」

近くにいた撮影スタッフが、ヒデの監督に対する凄みに怯えて何もできずに立ち尽くしていた。