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咎女(とがめ)
第8章 期限
「妻が気にしていてね」
精悍な顔立ちの優人とは似ていない、丸く柔和そうな今年還暦を迎えるはずの雅人の顔を、幸恵は無表情で見返した。
いつ呼び出されるかとずっと気構えていたから、やっと来たかとホッとしたくらいだ。
「ただ私はね、賀来くん。妻とは違って、今すぐ別れて欲しいとは思っていないんだ」
「え…?」
「反対されればされるほど、愛は燃え上がるものだからね…」
「…」
「…呆れないで欲しいな、これでも若い頃は色々あったものさ」
その悪戯っ子のような顔に、幸恵はプッと吹き出した。
精悍な顔立ちの優人とは似ていない、丸く柔和そうな今年還暦を迎えるはずの雅人の顔を、幸恵は無表情で見返した。
いつ呼び出されるかとずっと気構えていたから、やっと来たかとホッとしたくらいだ。
「ただ私はね、賀来くん。妻とは違って、今すぐ別れて欲しいとは思っていないんだ」
「え…?」
「反対されればされるほど、愛は燃え上がるものだからね…」
「…」
「…呆れないで欲しいな、これでも若い頃は色々あったものさ」
その悪戯っ子のような顔に、幸恵はプッと吹き出した。