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咎女(とがめ)
第10章 紫子
「待ってよ、優人」

「…いい加減にしてくれないか、紫子(ゆかりこ)さん?悪いけど、俺には恋人がいるんだ」


母の泣き落としに負けて一度だけした見合いで、相手に気に入られてしまったようだ。
気を持たせるような言動はしなかったはずだが、彼女は妙に馴れ馴れしい。

「ええ、お母様からうかがってるわ。年増の女狐にそそのかされているだけだから、目を覚まさせてやってほしいって頼まれたもの」



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