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午前十時を過ぎたなら(恵の選択)~義父との秘密が始まる
第21章 紅茶の温もり
温かかった。

紅茶が身体の中から染み込み、背中には太陽の光がカーディガンの如く包んでくれている。

もう一度、天使は微笑みを投げた。
何も言わず見守ってくれた男は熱い紅茶を運んでくれた。

泣きはらした目を向けると、滲んだ義父の顔がぎこちなく口元を緩めた。
そっと差し出すティーカップから、アールグレーの香りが湯気と共に立ち昇っていた。
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