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特別棟の獣
第20章 旅行前
深いキスをされているだけで、もっと吏生を感じたくなってくる。


「百合、腰動いてるよ」

「あっ…、やだ…」

「嫌じゃないくせに。ほら、もっと動かさないと俺イケない」


勝手に動いちゃってるだけなのに…




意地悪を言う吏生に反抗したくて全身の力を抜いた。


動けって言われても動いてあげない。



「百合?まだ体力あるでしょ?」


「もうやだっ…」


「え…?」



優しい吏生は私の嫌がることはしない。


顔は見えないけど、声だけで少し戸惑っているのがわかる。


いつも強気な吏生を揶揄うのが最近私のハマっていることだったりもする。


「ごめん、百合は見えないもんね。俺が動くから機嫌直して」

「もういい。吏生の好きにして」


態と冷たく言ったから焦ったのか、吏生は私から一度離れて素早く手の拘束を解いた。


そして私の身体を起き上がらせて、自分のあぐらの上に座らせて目を覆っていたネクタイも外した。



いきなり視界が明るくなって目を細めてしまったけど、心配そうにする吏生の顔はしっかり見えた。
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