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熱帯夜に溺れる
第5章 沈殿する夏、静止する冬
 叔母の相手をした後は一気に10年分は老け込む気がする。行きの道のりよりも身体が疲れていた。

 車内に戻った彼は煙草を咥えた。莉子の前では喫煙は極力控えている。
 情事の後はどうしても吸いたくなってしまい、しばしば煙草の味のするキスを莉子と交わしていた。しかし副流煙での受動喫煙は莉子の身体には悪影響だ。

 莉子は純が煙草を吸う姿をかっこいいと褒めそやす。喫煙は決してかっこいい行為ではないのだが、莉子から向けられる恋慕の眼差しに悪い気はしなかった。

 流れる紫煙をぼんやりと眺めながら、この恋を強制終了させるタイムリミットまでの月日を数える。

(莉子は実家に行くのは正月って言っていたから、年末は莉子と一緒に過ごせるのか)

 せめて今だけは莉子の人生のほんのわずかな時間だけでも、この手で独り占めさせて欲しい。
 莉子と過ごしたこれまでの甘い思い出があれば、この先を一生独りで生きるとしても堪えていける。

(莉子は俺の光なんだよ……とは口が裂けても言えないな。いくらなんでもハタチの子には重すぎる。重たいと思われて引かれるのはごめんだ)

 莉子が考えるよりもずっと、純の莉子への感情は深くて重たい。一目惚れした出会いの瞬間から彼は莉子の存在に救われ続けていた。
 そんなことも純は莉子には打ち明けない。莉子には何の迷いもなく、大きな夢舞台に羽ばたいてもらいたい。

 いつか逃がすから。だから今だけは、愛の鎖で覆った鳥籠《とりかご》に愛らしい雛《ひな》鳥を閉じ込めさせて。
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