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雨の降る夜は傍にいて…
第4章 台風12号MUIFA(ムイファ)
 38 元彼…

「キャァ、なんてぇ素敵なお話しなんですかぁ」
 と、彩ちゃんがそう興奮気味に言ってきた。

「そ、そうかなぁ…」
 なんか、彩ちゃんが聞き上手なせいなのか、ついつい話しをしてしまったのである。

「もおぉ、社長、わたしぃ、少しぃ、疼いちゃってますよぉ…
 もうストッキング穿く度に思い出しちゃうかもぉ…」
 と、彩ちゃんは本当に少し顔を赤らめていた。

「う、うん…」
 
 つい調子に乗って、ストッキングラブな話しまでしてしまった…

「あのぉ、地元出身のプロバスケ選手の大塚美香ってぇ、社長の教え子で、そんな関係があったんですかぁ」

「うん…、内緒ね…」
 彩ちゃんはコクリと頷いた。
 彼女はこんなキャラだから軽く見られがちだけど、実は頭が良く、回転も早く、もの凄く常識人なのであった。
 だからそういう面では心配はいらないのである。

 ただ…、男には軽いのだ、いや、計算して近づくのだ…

「それでぇ、もちろん、復活するんですよねぇ…」

「うん…」
 わたしは頷く。

「うわぁ、素敵ぃ、いいなぁ…」

「そんな、彩ちゃんにも、まあくんができたじゃない」

「まあ、それはぁ、そうなんですけどぉ、でもぉ、社長の話しみたくぅ、なんかぁ、こう、ときめきが足らないっていうかぁ…」

「何言ってんのよ、バンバン貢がせてときめくんでしょう…」

「あらっ、バレちゃってますかぁ…」

「もちろん…」
 わたしは笑いながらそう呟いた。
 どうやら彩ちゃんは先の離婚で開き直ったのだ…
 と、以前、わたしに云っていたのだ。

「いいなぁ、元彼のぉ、元サヤかぁ…」

「そうかなぁ…
 なんか、未練タラタラな感じがしちゃうのよねぇ…」
 そうなのである、少し、そう思っていたのである。
 今迄の恋愛で、一度別れた男と復活した経験はなかったし、事実、浩司、彼には別れた当時はかなり未練タラタラな時期があったのだった。

「でもぉ、大好きな時期にぃ、あんな理由でぇ別れたんですからぁ、仕方ないんじゃないんですかねぇ…」

 まあ、確かにそうなのかも…

 とりあえず、元彼と、元サヤに戻ったカタチになり、また彼、大塚浩司との関係を始める事にしたのである。

 ただ、色々と気になる事があったのだ…





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