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雨の降る夜は傍にいて…
第5章 秋冷え…
 36 転換期(1)

 だが9月半ばの初秋の頃、色々な意味での転換期を迎える事となったのである。

 そしてまずは、浩司の奥様と娘さんと遭遇する機会がやって来たのである…

 この年も例年通りに、中学バスケット県選抜選手のクリニック交流会が行われたのだ。
 そしてわたしはその交流会で高校バスケットボール部の県ベスト4の指導者として、約1年振りに奥様と、娘の美香ちゃんと再会をしたのである。

 わたしはその交流会の朝からそんな邪な想いからと、もう一つの違う意味でやや興奮気味にドキドキと胸を高ぶらせていたのであった。

 一つはそんな『不倫』なのに安定している現状の刺激が欲しい、という意味での奥様との再会。

 そしてもう一つの理由…

 それは娘、美香ちゃんのバスケットボールプレイヤーとしての素晴らしい成長を知ったからであった。

 交流会の前日に、クリニックに参加する高校バスケット側の指導者達と運営との軽い事前ミーティングが行われた、そしてそこでわたしはその美香ちゃんの素晴らしい成長振りの話しを訊いたのである。
 前回のクリニック交流会からの1年間、わたしはことごとくライバル高校に決勝戦で、しかもほんの僅差で敗れ続けていたせいもあり、全く中学バスケットの情報は気にしていなかったのであった。
 もちろんわたしの高校は私立の強豪高校であるから、特待生としてのスカウティングを毎年しているのだが、なにせわたしは今年で3年目なのである、まだまだ県内の中学バスケットの指導者達とは接点も交流も少なかったのだ。
 だから中学3年生の情報収集で精一杯であり、まだ中学2年生の美香ちゃんの情報は耳にも入らなかったのであった。

 だが、その事前ミーティングで美香ちゃんの状況を訊いた瞬間からわたしの胸は激しく高ぶったのである。
 そして交流会当日、まずわたしのバスケットボール指導者としての最初の転換期といえる事が起きたのだ。

 それは中学バスケットの指導者達の、特に県選抜チームの指導者達のメンバーに、わたしの過去をよく知る先生達が加わった事であった。

 その年度から、中学、高校の競技を問わずに底上げをしよう…
 という教育委員会の方針が決定したのである。

 それにより、各競技共に優秀な指導者達を県内外からピックアップして確保したりして、各競技を強化する事となったのだ…




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