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雨の降る夜は傍にいて…
第2章 春雷
 58 意味

「あぁ、ふうぅ…」
 俺はゆっくりとゆり姉ちゃんから引き抜き、そう吐息を漏らしながら横になり、痺れるような絶頂の快感の余韻に浸りながら、この判明した最後の心のシコリ、コンプレックスの事を考えていた。

「そんなに気持ちよかったの…」
 その俺のボーっと、まるで、放心状態のようになって考えている様子を見てなのか、ゆり姉ちゃんがそう囁いてきたのだ。

「あ、いや、うん…すげぇ気持ちよかった…」

 この心の中はとてもゆり姉ちゃんには伝えられない…
 俺はそんな返事で誤魔化した。

「そう、じゃぁ、よかったわ…」
 ゆり姉ちゃんはそう呟きながら、ゆっくりとカラダを起こし、自らのアソコにティッシュを当てながら処理をし始める。

「あら、さすがねぇ、すごくたくさん出ているわよ…」
 そう微笑みながら言ってくる。

「あっ…」
 そんな言葉になんとなく照れくさくなってしまう。

「でも、スッキリしたんでしょう」

「うん…」
 すかさず俺は頷いた。
 本当に、カラダだけではなく、今までの心の中にあった全てのモヤモヤが判明し、射精と共に吐き出したような、スッキリとした感覚があったのである。

「これで啓ちゃんは吹っ切れた筈よ…」

「えっ…」

「明日からの啓ちゃんは劇的に変わる筈よ…」

「えっ、吹っ切れた…
    劇的に変わる…」

 ゆり姉ちゃんの言っている意味がよくわからない。

「えっ、それって…」
 それは何の意味なのか…
 そう尋ねようとゆり姉ちゃんの方を向き、口を開こうとした時であった。

「いいの…」
 そう呟きながら、俺の口元に人差し指を押し当て、口を閉ざしてきたのだ。

 ああ、ゆり姉ちゃん…

 俺はそんな彼女の大人の女の仕草に、心がすっかり痺れてしまったのである。

「いいのよ、わたしに任せて…」
 更に続けてそう呟いてくる。

 わたしに任せて…

 任せて…

 どういう意味なんだろうか…

 だが、なんとなく意味など分からなくても良いと思っていたのだ。

 だってその言葉には、終わりではなく、始まりの意味の響きしか感じられなかったから…







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