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甘い蜜は今日もどこかで
第4章 【届かない想い】





「そんなにポンコツなの?ていうより、椿が一緒に居たいだけだったりして?」




「まさか、恋愛しに行ってる訳じゃないので」




どの口が言うんだって自分で突っ込んだ。




「今のところ残業もしてないようだし上手くいってるの?」




「はい」と答えるしかなかった。
実際に仕事は上手くいってる。




「じゃ、何が問題?呼び出した理由はそれだけじゃないんでしょ?」




「いえ、私が単に甘えてばかりでした、吉原さんに喝を入れてもらいたくて直接お会いしたかったんです」




「あら、そうなの?可愛い奴め」なんて笑ってくれたけど一瞬で鋭い目つきになって「惚れたら終わりよ」と忠告された。




「クライアントにはいくらでも惚れさせれば良い、良識ある程度にね、でもキャストは違う、その道のスペシャリストである以上は私情は切り捨てなさい、私情に惑わされたら何もかも崩れ落ちるわよ、契約された関係であることを毎度肝に銘じておくように」




「わかってますよ」




「そうよね、椿は勿論わかっててやってるわよね、ただの確認よ」




「すみません、お忙しい時に」




「SOSはどんな時でも受け付ける、便利屋のトップですから」




敵わないな、吉原さんには。
フワッと包まれて正される。
私には欠けている部分だ。
自分がまだまだなんだってことを思い知ると同時にやる気も与えてくれる。




「椿、この仕事好きになってきた?」




「え……?」




「最初は仕方なく…だったでしょ?まるでロボットみたいに働いてた、完璧だったから手本にはなったけどいつか壊れちゃうんじゃないかって思ってたから……その前に私を頼ってきたのは正解よ」




「吉原さんには感謝しています、いつも見捨てないでいてくれたから今の私が居るので」




「ん〜?私だけじゃないでしょ」




「え……?」




「何があったかは聞かないけど、外でずっと心配そうにウロウロしてるあの子は支えになってないわけ?」




「えっ!?」




言われてすぐ外を見渡すと確かに居ました。
私に見つかったと感じたかパッと居なくなって。
いつから…?
いや、絶対最初から見てたよね。
多分、家を出た時からついてきてたはず。









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