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甘い蜜は今日もどこかで
第7章 【愛したい守りたい】





随分前で忘れかけていたけど、記憶を辿るとそういや会ったわ。
え、でも一瞬だったはず。
デート現場に着いて来たのかどうかは定かじゃないけど、私が来たら偶然装って乱入してきたけど恥ずかしいからと関口さんが追い返したっていう。
子離れ出来てなさそうな親だったな、確か。
レンカノ始めた初期の頃のクライアントです。




当時は20歳の大学生だったけどリピートして来ないから他のキャストに行ったんだと思ってた。
で、今更何で私!?




「あの、やっぱり指名なんですよね?」




__うーん、親にお付き合いは順調ですって示したいそうよ、結婚云々じゃなくて前の彼女と続いてるっ啖呵切っちゃってそれを証明したいだけなんだって、本人は結婚の意志はないらしく、親を黙らせたいだけなんだそうな




「それって……」




__うん、イタチごっこだね、でもそれ言っちゃ終わりだしね〜そういう商売だし、そんな困った…を解決してあげるのがうちのウリだし?例えそれがその場しのぎだとしてもね




「はい、そうですよね、親の前でお付き合いしてるって証明してクライアントに合わせてくれば良いんですね?」




__良いの!?絶対引き受けてくれないと思ってた〜!




この案件が終われば、ちゃんと吉原さんに言おう。
ジロウと相談しよう。




「あの、毎回言ってますけど本当に出来れば今回きりで……今回のは私以外無理なので引き受けます」




__へーい、了解、詳細送るね〜!




とことん軽いな。
ていうか、ジロウ、怒るかな?
付き合ってるんだから怒るよね。
でもまだ言えてない段階だから。
断りきれないのもわかってくれるよね?
“今すぐ言いに行く”とか言い出しそう。




最近やたら独占欲強いし?
キレたらどうしよう。
副社長の事でも目を光らせているのに、またレンカノとかしたら気が気じゃないよなぁ。
逆の立場だったらブチ切れてる、間違いなく。




はぁー、でも引き受けちゃったし。
“どうせ断りきれなかったんでしょ”って優しく頭撫でて貰えないかな………貰えないか。
付き合ってない時点なら有り得るかもだけどもつ付き合ってるもん。




仕事、として割り切れなくなったら終わりだよね。
その時点でプロ失格。




失格だ。









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