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甘い蜜は今日もどこかで
第8章 【ずっといつまでも】





え、まだ食事も運ばれてないうちにプロポーズとかしちゃうやつ?
周りにがっつり見られてる気がするのは気のせい?
これからプロポーズしますって言ってるようなもんよね。
もしかして、今日一日ずっと考えてくれてた?




「吉原さんに報告しようって言ってたけど、僕の勝手な言い分で自信ついてから…とか先延ばしにしてたけど……実は今日の為だった訳で」




「え…?」




あ、ほら、タイミング悪く食前酒のシャンパン来ちゃったじゃん。
店員さんも気を利かせて足早に去って行ってくれた。
仕切り直しだ。




「まずは、ちゃんと椿に申し込んでからだって思って……椿の誕生日の今日に決めました、僕の気持ち聞いてください」




「うん……」




ふぅーってジロウ、緊張してるのがわかる。




「藤堂椿さん、もう出逢った瞬間からあなただと決めていました……長年の片想いを拗らせてしまっていた時期もあったけど、やっぱりずっとずっと好きで好きで仕方なかった、病室で言ってくれたこと……嬉しかったけど先に言わせてごめん、信じて待っててくれてありがとう」




泣きそうになってるけど、コース料理は運ばれてくる。
この段取りの詰めの甘さがジロウらしくて好き。




「ずっと傍に居てくれてありがとう、愛想尽かさないで僕の手を握り続けてくれてありがとう、いつも叱ってくれてありがとう、勇気なくてヘタレな性格でも何だかんだ言いながら隣で笑ってくれてありがとう」




思わず上を向いて涙を堪えてしまった。
夜景の方を向きながら頬に零れ落ちた涙をサッと拭う。




「僕はまだまだヘタレです、でも、椿を一番に想ってる気持ちは誰にも負けない、絶対に泣かせたりしない、泣くことより2人で幸せになれることを探していきたい、僕と、これからの人生を共に生きてください………結婚してください」




パカッと開けて指輪が見えた。
ソッと前に差し出され「お願いします」と頭を下げられた。




ちょっと待って………
ヘタレなジロウよね?
こんなドストレートにくるの?
だから、感動して言葉にならないんだってば。
密かに周りの人たちに見守られてる感。




「………つけてくれないの?」




「え?あ、ハイ、つけます」









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