この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘い蜜は今日もどこかで
第9章 【離れない永遠に】
「ニューヨーク!?」
「うん、海外展開もずっと視野に入れていたし昔から夢だったんだ、まだ話したことなかったけど」
そう言う副社長の顔は自信に満ち溢れていて、でも出逢った頃の傲慢さじゃない。
もう夢じゃなくて実現に向けて動き出している。
「まずは視察も兼ねてあっちで修行してくるよ」
「お一人でですか?」
「いや、室長と一緒に一から立ち上げてくる」
室長が一緒なら幾分か安心だ。
もう、私の役目も本当に終わり。
本当に、立派になられました。
「もし向こうで実現出来て夢叶えてきたら……って何年かかるかわからないけど、その時はまた会ってくれる?あ、UNEEDに連絡すれば良いのかな?辞めたり…しないよね?」
「はい、しぶとく居ると思います、嬉しい報告待ってますね」
「やった、よっしゃ、やる気出た!」
「大袈裟ですよ、必ず副社長の努力は結果に結びつきますから」
誰よりも近くで仕事ぶりを見てきた身なので。
そこは自身を持って言えます。
副社長の秘書で居れた期間は私にとっても貴重な経験でした。
「本当?契約期間延長してきた面倒くさいクライアントとか思ってない?」
「………思ってないですよ」
「あ、何で今ちょっと間があったの?」
「思い返してみただけです、本当思ってないですって」
「嘘だ、俺が引き下がらないもんだから頭抱えてたの知ってるんだからな」
「まぁ、全然思ってなかったと言えば……嘘になりますかね?」
「ほら!ほーら!」
まるで子供みたいに騒ぐ副社長を適当にあしらう私が皆さん可笑しいみたいで、もうこの画が見られないと思うと寂しいな、と言われてしまった。
「あ、そうそう、社内で妙な噂が立ってたから一蹴しといたよ?」と先輩秘書の方が言ったのを食いついたのは副社長で。
「妙な噂?」
「はい、あぁ、コレ」と私の左手を取り婚約指輪を差して「副社長と藤堂さんが結婚するんじゃないかって」って言ったら何で嬉しそうにしてるんですか。
私は知ってましたけど敢えてスルーしてたんです。