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甘い蜜は今日もどこかで
第2章 【曖昧なカンケイ】





失いたくないのよ、縋りたくなるほどに。
ずっと私の人生の中にはジロウが居る。
居ないなんて考えられないの。
泣くときも笑うときも怒りぶつけるときも全部ジロウがいい。



その時の気持ちの持ちようにもよるんだけど今日はやっぱり弱い私でした。




「開いた!」って喜んでるジロウのプリンを一口掬ってまた横取り。




「ねぇ、それ要らないんだったら私が食べてあげるよ」




「え、コレは僕のです、椿さん食べたじゃないですか」




「だって一口分はジロウにあげたもん」




「うっ………だからって………あれは椿さんが…」




「ねぇ、私さ、ジロウとは喧嘩したくないの、今まで通りが良いなら頑張って我慢する、無理な時もあるかも知れないけど極力我慢する、それで良い?」




「…………はい、良いです」




「本当?怒ってない?嫌いになってない?」




「ならないですよ、僕がそんな……」




拳を向けて「これからも宜しく」とグータッチする。
よし、リセットされた。
いつかは変わるかも知れない関係性。
でも急ぎ過ぎたら本来在るべきものまで失ってしまうのかも。
そう考えるとリセットするのが一番だと辿り着いた仲直り方法なのだ。












「おはようございます、副社長」




「うん、おはよう」




ニッコリ笑って他の社員にも挨拶していく。
エレベーター内でスケジュールの確認。




「ハァー、今日も鬼スケジュールだね」




「午前中の視察、先延ばし出来ますけど」




「いや、良い、先延ばしして良いことなんかないから」




「では、同行致します」




そういう真面目なところは好印象なのにね。
「でもちょっと充電」と肩に頭を乗せてくるところはイケ好かない。




「もう着きますよ」




「ん〜」




2人きりだからといってこの甘えたギャップは正直困り果てています。
言っても直らないし。
袖口引っ張るな、調子が狂う。
チン…と鳴ればサッと戻る。
秘書課の皆さんに出迎えられるともう顔つきが違う。
ズルくないですか?




当たり前のようにネクタイを選んで結んで差し上げる。
ジッと見るから根負けして微笑むと嬉しそう。
これで仕事の精が出るなら安いものですよ。










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