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甘い蜜は今日もどこかで
第3章 【どんなに焦がれても】





「勿論、こちらとしても御社の方針に従うつもりです、これは私個人の強い願望ですので…」




言いながら語尾が弱々しくなっていってる。




「ではこうしましょう、藤堂が抜けて穴が開いては仕事になりませんので新たな人材を派遣させます、藤堂と同様のスキルをお約束致しますので…」




「藤堂さんじゃなきゃ意味ないです!やっとこんな俺でも出来る仕事があるって教えてもらったんです、傍で見ていて欲しいとお願いしました、必ず成功してみせると……始めから二人三脚してきた藤堂さんじゃダメですか?」




被せ気味に言う副社長に2人して圧倒されてしまった。
これは………これは………非常にマズイんじゃ。
吉原さんの方見れない。




「あの、突っ込みたいところは多々ありますが、再度確認させて頂きますけどもキャストである藤堂に特別な感情をお持ちではないですよね?万が一そうなりますと規約違反となり即契約終了となります」




「わかっています、承知した上で藤堂さんを指名したいです」




「あら、でしたら藤堂の立場もご理解頂きたいです、引っ張りだこなんですよ?すぐにでも引き継ぎしたい案件が山ほど……ですので抜けても良いようにもう一人派遣させます、そのように社長にご報告願えますか?通らないようであれば藤堂は最初に結んだ契約通りで引き取らせて頂きます」




言葉の端々に吉原さんの仕掛ける罠が見えてきた。
副社長を試している。
お願い、ボロ出さないで。
何かを言いかけてグッと堪えてる。




「あの、吉原専務、こちらに籍を置いたまま別の仕事に行く時だけ他のキャストが応援に入るという形ではダメですか?スキルは落ちるかもしれませんが、それなら私も安心して別件に向かえます……重要な会議やイベント日に被ることは極力避けてもらえたら有り難いですけど」




自分でも自分のセリフに驚いている。
副社長のボロが出ないうちに私から提案した。
でも最初からそのつもりだったでしょう?
試す為に私を返してもらう…だなんて言って。
思いきり動揺してたじゃないですか。
見抜かれてますよね。











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