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甘い蜜は今日もどこかで
第3章 【どんなに焦がれても】
冷静になってってば。
無理……力じゃ勝てない。
やだ……デスクに寝かされたくはない。
でもどんどん被さってくる。
結局負けて寝かされた。
身体を押して距離を取るのも阻まれて、とうとう晒してしまった。
紅く頬を染めて涙目で煽る視線。
少しだけ乱れた胸元を慌てて隠す。
その手を退けられて副社長はブラウスの上から鎖骨あたりにキスを落としてきた。
抑えきれない顔………再び唇に戻ってくる。
言葉はなくとも嫌でも伝わってくる。
嫉妬に満ちた支配欲。
不安を掻き消すように覆い尽くす。
どうすれば良い……?
どうすれば納得してくれるの……?
私に出来ることなんてないよ。
今、出来るのはこのまま火照りを冷ましてあげることだけなの……?
ダメ………副社長の手が脚に触れてくる。
頬に触れてキスを止めることが出来たなら。
「副社長……こんな場所では嫌です」
精一杯の抵抗が効きますように。
手を重ねてきた。
「今逃したら、キミはまた何処か他に行ってしまうだろう?それが耐えられなくて俺は……っ」
「大丈夫です、何処にも行きませんから」
「明日、行くじゃないか……」
「はい、仕事ですので……日帰り出張、てとこですかね、そう思ったら楽でしょう?また戻って来ますから」
あ、ちょっと考えてる。
これでダメなら次の手もあるけど、どう出るかな。
「私のこと、そんなに信用出来ないですか?」
真っ直ぐ見つめ返す視線の先で見えてる答えに問い掛ける。
そっと手を引いて起こしてくれた。
乱れた服も髪もすぐに直す。
デスクから降りると今度は優しく抱き寄せてきて。
「手荒な真似をした、すまない」
「こういうことすると、即解雇なんです、私」
「えっ!?俺からしたことなのに、そんな……」
「ええ、理由はどうであれ規約違反になりますので今後の弊社との契約は出来なくなってブラックリストに載ることになります、そして、キャストである私も残念ながら解雇となります」
「わかった、気をつける……」
凄く理性と戦っているのがわかる。
半分嘘だけど理解してくれたようだ。
そっと離れたけど握った手は離してくれなくて。