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甘い蜜は今日もどこかで
第3章 【どんなに焦がれても】





覆っていた手も簡単に退けられて甘い声で誘ってくる。




「俺の我儘に無理やり付き合わされてるだけだから………お願い……するよ?キス」




私からはしない。
触れてくる唇に甘噛みされて目を閉じたのは紛れもない事実だ。




誤魔化し……きれなくなったな。
不思議な感覚で、否定出来なくなると腹を括るというか、応えてしまいたくなる。
あれほど規約違反だと主張しながら絡み合う舌先に気持ちが乗ってしまっている。
だから、諦めきれなくなるのよ。
わかっていて甘い蜜を与えてしまう私が一番悪い。




背中に回る腕の中で逃げなかったのは私なのだ。
唇が離れるまで動かなかった。
どんどん引きずり込まれていく。
このまま放置していたら取り返しのつかないことになるのは目に見えているのに。




私は………私は…………




「これ以上は許してください」と甘い声で、弱い力で止めようとするので逆に煽ってしまうことも承知の上で。




「副社長……ダメ……ダメです、裕典さん…っ」




首筋に這う唇に反応してしまう。
慌てて押し退ける。




「つけないでください……明日はドレスコードするので」




そう言うと急にしゃがみ込みタイトスカートを少しだけ捲り、腿に唇を這わせてきた。
抵抗しながらも上の方に捲り上げてくる。
ストッキングの上からチクン…と内腿につけてきた。




すぐにスカートを戻して副社長も立ち上がる。




「俺のこと忘れないように……ごめん、どうしてもつけたかった」




こんなの………反則でしょ。
不覚にもドキドキした。
どうにもこうにも、支配欲に溢れた雄の目を見ると瞬時に抗えなくなる。
こんなことで惑わされているようじゃプロ失格ね。
そう、吉原さんに言われている絵が浮かんだ。




















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