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呪われた王宮~宿命を負う聖少女の物語
第52章 マチルダ(アズート)
ルナが覗く水晶に三十年前の風景が再現されていく。

※※※※※※※※※※※※※※※

「キャーッ・・・・」
「待ってぇ、マチルダー・・・」

子供が走っている。
透通る声で笑いながら。

石畳が続く道を息を切らせ、登っていくと所々木々に覆われた神殿が現れた。
マチルダは幼い笑みを押し殺すようにして、朽ちかけた石門の影から来た道を見ていた。

かつて栄華を誇ったジューム国も、隣国との戦争などで疲弊し滅びようとしていた。  
男達は戦い、多くが死んでいった。

女達も何度かの侵略で犯され連れ去られていき、残されたのは老人とわずかな子供しかいなかった。
マチルダを含め殆どの子供が親を失っていた。

ジュームの民は数少ない末裔達を共同で育てていたのである。
特に愛らしいマチルダは、みんなに可愛がられていた。
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