この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
密会
第13章 🌹あとがき🌹
⑤ すぐさま彼女は首を左右に振って否定する。すると彼の作り笑顔が崩れて、能面のような顔付きへと変わったのだ。
「この期に及んで、まだ嘘を重ねる気か?」
完全に目の光を失い、日比谷教頭の瞳孔が大きく開かれる。彼は、すっかり縮み上がってしまった美月の首に手をかけた。
嫉妬と独占欲で狂い始めた日比谷教頭です。
「俺に絞め殺されたくなければ、男の名前と居場所を吐け。早くしろ。」と脅迫するような言葉が彼の心情的にはピッタリです。
日比谷教頭、美月の首に手をかけて頸動脈に移動しています。黙っていたら本当に扼殺されていたかもしれませんね。
⑥ 「自棄を起こして酒を飲み、反社会的勢力の男に騙されて手酷く抱かれた。それは事実だ。だがそれは2ヶ月以上も前の事で、昨日の事ではない。昨日お前を抱いた男とは別人だ。その男とは当然繋がりがある上に、お前はその男に惚れている。ソイツとの関係を断たれる状況だけは避けたいが、その前にこの状況を切り抜けなくてはならない。だから、2ヶ月以上も前の話を引っ張ってきた。お前は最初から俺の質問には何も答えていない。そういう可能性も否定出来ない。」
どうして彼が2ヶ月前と言ってきたのかというと、2ヶ月前は1月、体調不良を理由に美月が日比谷教頭の誘いを断った月です。
この時、彼はこの体調不良の原因がこの事なんだろうと思い込みます。美月が貴方に切り捨てられるのが嫌でと言っているのにも関わらず、ヤケを起こした理由も仕事のストレスや人間関係だろうと決めつけています。
“彼女が心から俺に好意を寄せる筈が無い。何故なら無理矢理身体の関係を俺が迫ったからだ。脅迫する材料も突きつけた。この女は嘘を吐いている。”って心の中で思ってしまったんです。城戸の鬱血痕もありますしね。
そして1月の密会日の翌日から昨日までの期間に自分に黙って男を作ったと決めつけてます。一刻も早く制裁を与えたい相手を突き止められない悔しさ、怒りが原因で、冷静な判断が出来ていません。全然美月の話に耳を傾けられてなくて、ただ独占欲と嫉妬が暴走している黎一です。