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密会
第1章 🌹April🌹
翌朝、昨夜の出来事を教頭に見られてしまったのかもしれないという恐怖から、結局殆ど寝る事が出来なかったが、重い足を引きずって出勤した。
朝の職員会議でチラッと視線を寄越されたが、
懸念していたような事態は起きず、夕方の職員会議も終え、私は溜まっていた仕事を片付けていた。
「米倉先生。」
その声に私はびくりと肩を震わせた。
「少しお時間を頂いても?」
口調は優しいが、有無を言わせない威圧感を感じた私はコクリと頷くと、日比谷教頭の後に続いて教員室を出た。
夜の8時。生徒達が居ない静まり返った教室を通り過ぎていく中、一つの空き教室に辿り着くと日比谷教頭はピタリと止まり、私の方へ振り返った。
「どういう事か説明頂けませんか?」
ズボンのポケットから自身のスマホを取り出し、ある動画の一時停止画面を私の方へ見せた。
「....。」
そこには照明の少ない薄暗い職員室内で椅子に座り、左右に足を開いて淫らな一人遊びをしている場面がしっかりと撮影されていた。
「その...一人で...淫らな行いをしてました...」
耳まで赤くなった顔で何とか途切れ途切れになりながらも私は返答した。
「なるほど...」
嘲笑混じりに言うと、日比谷教頭は職員室の方角へと歩みを進めた。
懲戒免職、退職届。
魔が刺してしまったとはいえ、避けられない未来だと冷静になっていく頭が確信した。
「米倉先生」
歩みを止めて、フリーズした私の方へ振り返る。
「はい」と返答した私の声は震えていた。
「貴方が普段、生徒想いな上に仕事熱心な事は私もよく知っている。貴方の今後の態度次第では、今回の件を私の胸の内に留めておく事も考えている。」
「!!そうですか...!!ありがとうございます!!あの私、今以上に一生懸命、働きます!!」
校長に報告後、良くて停職職分、最悪懲戒免職になるだろうと考えていた私は、日比谷教頭の一言が嬉しくて、必死に頭を下げた。
「いや、勤務態度は問題無い。普段通りに働いてくれて結構だ。それよりも」
そう言うと、日比谷教頭はゆったりとした足取りで私に近付いた。
その距離感に私は一歩後退りしようとしたが、片手を強引に掴まれた。
「私と肉体関係を築く方が重要だと思わないか?」