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私のお部屋
第14章 バージンロード
「いやぁ~、今日はホントにめでたいねえ」
ウェルカムドリンクを次々と飲み干して
校長先生が顔を茹でダコのようにしながら
はしゃいでいた。
一度に二組の仲人を引き受けたものだから
てんてこ舞いしながらも
校長先生は上機嫌だった。
「あなた、ちょっと飲み過ぎじゃないの?」
これで仲人の挨拶が出来るのかしらと
PTA会長の佐藤さんは憂鬱そうにしていた。
「それにしても桃子が豆田先生を選ぶなんて…
青天の霹靂ってこの事よね」
純白のウェディングドレスを身にまとった桃子に
やっかみ半分で彼女は言った。
「ほんとはピンクのドレスにしたかったんだけど
吉彦が許してくれなくて…」
「いや、絶対に桃子は白が似合うって!」
ここに、たどり着くまで紆余曲折があった。
まず豆田吉彦の両親は
桃子との縁談を渋った。
『なにも年増のバツイチ子持ちと結婚しなくても
他にいい女がいるだろうに…』
そう言って反対されたのだが
桃子が妊娠したと知るや
初孫が生まれると喜び、一気に二人の婚姻を認めた
桃子は二度めの挙式とあって落ち着いているものの
豆田吉彦は初婚ということもあって
ガチガチに緊張していた。
「吉彦ぉ…式の途中でぶっ倒れないでよ」
「桃子こそ、悪阻(つわり)は大丈夫なのかい?」
少しだけ膨らみかけた桃子のお腹を
いたわるように優しく撫でた。