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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第2章 【愛しき人たちに囲まれて幸せなのです…】





帰りはいつもズラして別々の時間にホテルを出ます。
ヤリスクロスに乗ってスーパーに寄る。
ここからは普通の主婦になる私です。
今日、明日は献立が決まっているので明後日からのメニューを食材を見ながら決めていきます。




途中、一颯くんから電話が掛かってきてお話しながら会計を済ませます。
これは、一颯くんの戦略…らしいです。
スーパーでも時おり声を掛けられてしまう私がまた悪さをしないように常に通話中にして悪い虫から守る為だそうです。




もしかして買い物中?と第一声がそれで、どれだけ心配掛けてるんだか。
そうだよ、と答えたら教えなきゃダメだろって怒られる。
だって、こっちは一颯くんの生活スタイルを把握してる訳じゃないし。
寧ろ、一人暮らししてからは益々掴めなくなった。




__心配なんだ、十和子さんのこと




「ん………ごめん、これからはメッセージ入れるようにするね?」




__うん、だいたいこの時間帯でしょ?連絡つくようにスタンバっとくから





「ねぇ、就活生でしょう?本当、自分の為に時間使ってください」




__嫌だ




「即答だね、んふふ、もう駐車場着いたから帰るね?」




電話を切ったら助手席を開けて荷物を置いた。
運転席へ回ろうとしたその時。
思いきり手からキーが離れて滑り落ちていってしまった。
誰かの足元まで勢いよく飛んで拾われた。




「あ………すみません、そのキーケース私のです」




そう言いながら顔を上げたら相手の方が固まっているような気がした。
背の高い男性。
黒のスキニージーンズにお洒落なデザインシャツ。
パッと見、誰なのかわかりませんでした。
拾ってくれたキーケースも渡してくれない。




「あの……?」




「あの、僕のこと覚えてませんよね…?」




え…?こんな背の高い子、直近で出逢ったことないけど…?




「あっ…いや、今日、ガソリンスタンド来られませんでしたか?」




あ、行った……そこに居たの?
接点あったかしら…?




「あの、僕が対応したんです、あなたの」










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