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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第7章 【あなただけのモノになれたら幸せなのです…】





「いつも綺麗にしてくれてありがとうございます、美容師続けてくださいね、通いますから」




何を言い出すかと思えば昇進じゃない、おめでたい事だわ。
辞めるとかじゃなくて良かった。
思い詰めた顔だったから余計な心配しちゃった。




「あの、新しいお店になったら……オーナーになったら勇気振り絞って良いですか?」




「え…?」




キョトンとしてたら凄い早口で
「その時はプライベートでお電話してもご迷惑じゃないですか?」と言われて一瞬固まる。
いつもあんなに格好良かった美容師がテンパってて耳まで真っ赤なのはレアだね。
こんな顔もするんだって興味が湧く。
でも天然っぽさを挟んでみようかしら。




「えっと、娘は彼氏居ますよ?」




「え…?あ、娘さんじゃなくて、佐倉さんです」




「わ、私!?えっと、結婚してますけど」




「え?でも、ママ今フリーだよって…」




有紗、そんなこと言ったの?
すみませんと謝るもショックは隠しきれないようで。
娘が居て主人も居ること言ってなかったかな?
シングルだと思われてた?




「そうですよね、佐倉さんみたいな綺麗な人、誰も放っておかないですよね、すみません、困らせちゃって」




苦笑いするしかないのかな。




「え〜!つまんなーい、いつもお世話になってるんだから食事くらい行こうよ〜勿論、2人で行ってきてください」




後ろから登場した有紗に呆れる。
何企んでるの?
「僕も、それお願いして良いですか」って担当美容師も乗っかってきた。
2人きりはマズイんじゃ…?
「昇進祝いしてあげなよ」って有紗め。
お願いします!って変な空気になってるじゃない。
押しに弱いのを知り尽くしている娘の手腕。
乗るか、乗らざるべきか。




「娘も一緒ならお祝いさせてください」




「えー!私めちゃくちゃお邪魔虫じゃん」




「そんなわけないでしょ」




「ねぇ、ケンジくん、私も居るけど良い?」




もう名前呼びしててびっくりする。
懐に入る早さは有紗に勝てる気がしないわ。
あっさり快諾されて、本当に行くことになってしまいました。







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