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狂愛の巣窟 〜crossing of love〜
第7章 【あなただけのモノになれたら幸せなのです…】





今はこうして抱き締めてあげることしか出来ないの。
ありがとう、その気持ちだけで充分だよ。
はじめからストレートに気持ちをぶつけてきてくれる子だった。
父親の再婚相手なのに「好き」と告白してきた。




今でも鮮明に覚えているよ。
戸惑う私に躊躇なくキスしてきたこと。
たどたどしいキス。
震えてたね。
相当勇気振り絞ったんだろうなって。
私と亨さんの中を最初は壊そうとしたきたけど、私がお願いして今の関係に落ち着いた。
失うのが怖いのは同じだったから。




「言ってどうするの?もしかしたらもうこうして会えなくなるかもなのに?全部背負うってそういうことだよ?前にも言ったと思うけど、自分だけが吐き出して楽になっても、周りは思うようには動かないの、手にしたモノ全部失う覚悟があるなら別だけど」




そう言うと黙るのもわかってて、またひとつ縛り付けちゃったなって後悔もする。
その場しのぎの言葉で何年もそこから動けなくしてしまう。
温もりを与えることしか私には出来なくて。




「ごめんなさい、私も怖いの………きっと一颯くんなしの人生なんて考えられないから」




「十和子さんにそう言われたら何も出来ないよ、同じ気持ちだから……でも、譲れない気持ちはずっと持ち続けても良いだろう?もう十和子さん以外考えられないから、困らせる日もあるかもだけどちゃんと今日みたいに諭してくれる?」




「一颯くんが私を想ってくれてる間はそうするね」




「じゃ、一生だよ」




永遠………なんてことはないってわかっているのに、嬉しくて頷いてしまう。
このキスが永遠に続けば良いって願わずにはいられない。
最低なことしてるのに。
それさえ背徳的で巻き込んで雁字搦めにして。




「十和子さん……好き」




「うん………私も好きよ」




「親父より?」




「意地悪しないで」




「今だけで良いから答えて?十和子さんの口から聞きたいんだ」




「本当に今だけ?」




「うん」




何の真実味もなく何の保証もない取り繕った言葉だけでも良いなんて言わせてしまった。
少し考えていると不安そうに見つめてくる。
本当に参る、キミには。








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