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碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
「リセさま、おはようございます、昨夜は大変お世話になりました、朝食は何をお召しになりますか?」
「え?え?あの、おはようございます……え?」
ちょっと、頭上げて…とベッドから降りる。
「お世話になった分、朝食を作らせてください、冷蔵庫拝見しても宜しいでしょうか?」
「あ、いや、そこまで気を遣わなくて良いよ?朝はスムージーだけだしナオちゃんは何食べる?冷蔵庫何あったっけな…」
寝起きドッキリじゃないかと疑うほど頭が混乱してるよ。
朝からなんちゅー展開なんだ。
「朝は……茹で卵、ブロッコリー、大好きなプリン…です」
「アハ…!モデルっぽいけどプリンは食べちゃうんだ?ナオちゃんの方がちゃんとしてるね、やっぱり」
慌てて冷蔵庫を確認し、冷凍のブロッコリーがあったのでそれでOKもらいました。
自分でやります、とキッチンに立つ。
それさえ見慣れない景色で朝から違和感だらけ。
ヨガも一緒にしたいと参戦してきた。
さすがモデルだけあってすぐマスターしてる。
ちょっぴり対抗心に燃える。
「初めてなんです、私が男だって見抜いた人」
「なんか……悪いことしちゃったな」
「いえ、嬉しかったんです……偽りの姿じゃなく本来の自分と向き合ってくれたみたいで……モデルやってるとやっぱり女の子としての自分しか見てもらえないから……絶対にヘマは出来ないんです」
かなり背負い込んでるなぁ〜とは思ったけど知らない世界をとやかくは言えないから、ふと目に入ったゲーセンのコインを手に取り、彼女の前で突然手品を始めたらびっくりしてくれるかな?
左手に隠したコインを一瞬のうちに掌からなくして両方の手から消した。
「え?」てリアクションありがとう。
親指から順番に指を曲げてグーにしてフッ!と息を吹き掛けたら掌にコインが戻るってオチ。
一番簡単なのを披露したんだけど思いのほかウケてて「何で?」を繰り返す。
「え、もう1回もう1回」って何度見せても驚いている。
「もうヤダ、種バレちゃうもん」と私も笑う。
「リセちゃんお願い」
「ダーメ」
自然と名前で呼び合って打ち解けてる。