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碧い雨の夜に…
第1章 【衝動的に……】
「え、何?コレ……」
驚くのも無理はないだろう。
でも買っちゃったの、もう無理なの。
返品は受け付けないから。
「スマホ」
「替えたの?」
「あげる」
「え?誰に?」
「ナオに」
「はっ!?え、どういうこと!?」
「仕事してても気になるから……受け取ってくれなきゃ発狂する」とヤンデレぶりを発揮する。
遠慮するのもわかるけど「もう登録してるから」って無理やり渡す。
「ボク………ヒモにだけはなりたくないのに」
「ヒモにした覚えはないです、ナオだから持たせるの、心配だから」
「心配……?」
「ナオわかってないでしょ?ナオ、外ではまるで女の子ですぐ悪い虫がつきそうなんだもん」
「それでスマホ……?」
「良い?掛けてみるから画面見てて」
そう言って着信を鳴らしたら画面に私の番号が出たのは良いけど、登録名が「私の彼氏」でハートマークだらけ。
それにはナオも笑い転げてる。
「好きに使って、毎月分は払ってくれ」と不器用ながらも格好つけたつもりが涙目で「ありがとう」とか言われたらこちとら心臓ギューン!なんですけど。
ポニーテール可愛い、と毛先に触れる。
「明日、リセちゃんにもしてあげようか?どんなのが良い?」
まさかのヘアセット。
ダンサーさんだから格好可愛くしなきゃね、と朝からタウンモリの三つ編みにしてくれた。
「え、神………めちゃ可愛いじゃん」
「インナーカラーとも合ってるよね」
前髪もセンター分けだから余計似合ってるかも。
低めの位置で左右非対称にほぐした三つ編みスタイル。
したことなかったから新鮮。
「可愛過ぎて大変だね?」って自画自賛しちゃって私の髪に触れてくる。
「ありがとう」って笑っただけなのに赤くなるのって勘違いしそうになるからやめて。
綺麗にしてくれたんだもんね、ナオが見惚れてくれるくらいしてくれたんならめちゃ嬉しいよ。
だからダンススタジオでも「可愛いー!」の嵐だったのよ。
急にヘアスタイル変えてきたから美容師の彼氏が出来たんだって噂が塗り替えられた。