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碧い雨の夜に…
第3章 【必然的に……】
形に出来た振り付けをもう一度見てもらう。
ダンスのことになると、アキラは遠慮なく物申してくる。
そういうところも助かってる。
意見を擦り合わせていってピタッと合わさった時の昂揚感を知っているから。
特に今回はメンズグループだから私の魅せ方とアキラの魅せ方ではやっぱり差がある。
パワフルな踊りを魅せてくるからすぐさま取り入れやすい。
鏡越しに目を合わせながら一つ一つの動きをチェックしていく。
何度も音楽に合わせて振り付けし、身体に叩き込んで。
真剣な顔つきからゴールが見えた時の安堵の笑顔へ。
「ありがとう、アキラが居なきゃ完成出来なかったかも」
「完成出来てるよ、お前は俺の唯一認めた振付師なんだから」
「え?」
「え?」
かなり小っ恥ずかしいセリフを言い合っていたことに我に返った2人は再び笑い合う。
「いや、でも、こんな風に納得のいく形には出来なかったかも」
「理世らしさが節々に出てて良いんじゃない?俺には見えてるよ、今後も凄いグループが出て来て、振付師 RISE SASAMOTOって出た途端、世界が歓喜するってな」
「え、ちょっと待って、熱ある?」と額に触れてみる。
「ねぇよ」って離れるけど、こっちだってリアクションに困るくらい嬉しかったりするんだよ。
照れ隠しじゃん。
世界だなんて考えたりしたことはあったけど、自分はまだまだだと思っていた。
改めて言葉にすることでより現実味が増す。
夢って言葉にしなきゃダメなんだなって。
その為に自分は何をするのか。
何を吸収し、どう変化を成し遂げるのか。
その隣にアキラは居る……?
「何?どうした?ジっと人の顔見て」
キョトンとした顔で聞いてくるアキラに何でもないと首を振る。
当たり前のように傍に居た人もずっとってことはないんだ。
そう思っただけで急に不安も襲ってくる。
「アキラは私が居なくなってもダンス続けてくれる?」
「は?もう俺の人生の一部だわ」
「じゃ、私が日本飛び出しても変わらずこうして一緒に踊ってくれるよね?」
「其処に俺は居ちゃダメなの?」
「え…?」