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碧い雨の夜に…
第3章 【必然的に……】
「私もやりたい」等とどんどん集まってくる。
総勢12人で8人ダンスを踊る。
そこはプロなので余っても余ったなりの余裕ある即興ダンスを披露してくれるから助かる。
阿吽の呼吸が揃う時、皆の波動が重なった時は鳥肌が立つくらいアドレナリンが出る。
「最高かよ!皆、ありがとー!!」
円陣組んで3回ほどまわる。
出来た振り付け動画も一発撮りでキマり送付した。
何度か修正やリクエストも途中で挟んで何とか形に出来た。
本人たちが一生懸命覚えてくれて完成したパフォーマンスを見た時は本当に感動させられたの。
ダンスやってて良かったって思える瞬間で、言葉にならない感情に包まれる。
後に世界的に有名な振付師集団に混じってひとつの楽曲振り付けをパートに分かれて作り上げたりするんだけど、それはもう少し先のお話。
(今終わったー!リセちゃんは?もしかしたら合流出来る?)
忙しい日々を何なりとくぐり抜け、ようやく落ち着きを取り戻した頃にはもうすっかり春めいていた。
待ち合わせをして時間も余裕あるし外でご飯を食べることにした。
ナオが予約してくれた韓国料理のお店は凄く美味しかった。
「また来ようね」って言ったそばからナオの携帯が鳴ってその場で出たんだけど一瞬で声が低くなったから振り返ってしまう。
何かあったんだとすぐにわかる顔つき。
「はい……わかりました、向かいます」
そう言って電話を切った後、無になっていた。
「どうしたの?事務所でしょ?」
出る前にそう教えてもらっていたから聞いたのにナオは浮かない顔してる。
今は男の子バージョンでキマってるからその顔さえも見惚れてしまうほどだけど。
「うん………事務所に今から行かないと」
「何かトラブル?」
今にも泣き出しそうな不安めいた顔なのが凄く引っ掛かる。
これは理由を聞いてからじゃないと向かわせられない。
手を握り「教えて」と言った。
「母親が来てるって……ボクに会わせて欲しいって」
「お母さん?確か、韓国に居るんだよね?こっちに来てるんだね、会って来なよ」
言った直後の顔色を見て言葉選びを間違えたと気付く。
「知らないんだ……両親とも、ボクがジェンダーだって」