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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第44章 梨果の朝帰り
「お目覚めですか?そうしましたら精密検査を行いますので申し訳ないのですが面会の皆様はお帰りいただいて奥様だけお残りください。」

「ええっ、来たばっかりなのにー。」

美月が嘆く。

「ほらほら、病院なんだから治療が優先だよ。行こう美月。それではお父様、お大事になさってください。」

奏音に促され美月と友也は共に病室を後にする。


検査を終えると夕方やっと退院となった。病室で荷物をまとめていると梨果が1人でやってきた。

「梨果…。」

愛おしい梨果。駆け寄りギュッと抱きしめた。

「おじさん、ごめんなさい。私が心配かけたせいで…。」

「梨果…怒鳴ってしまって済まない。」

「叱られて当然…本当にごめんなさい。」

髪を撫で、ギュッとギュッと抱きしめた。

「もういいから、あとで昨日のこと詳しく話しておくれ。」

「…うん。おじさん、それより病気なの?」

「ん……心配ないよ。」

「そうなの?何気におじさん隠し事してない?」

「…とにかくもう体は大丈夫だよ。」

「…そっか。奥様に頼まれて…。おじさんをよろしくって。深刻な顔をしてた。」

妻は外せない急な仕事が入り、そちらに向かってしまったようだった。



梨果と家に帰るとまだ友也は帰っていなかった。梨果曰わく奏音たちと一緒にお茶を飲みに行ったらしい。

「梨果、クロッキー会の後、昨日のその後の話を聞かせてもらえるかな。」

「うん…。」

なんとなく話したくなさそうな表情をする梨果。目を泳がしている。

「どうした?」

「…うん。どんな話しでも怒らないって約束できる?」

すでに嫌な予感しかしないが、ここでその提案を飲まなければ真実を聞くことは出来ないだろう。

「わかった。怒らない。」

「…えっと、あの後どこかで食事にしようって話だったんだけど、やつれたお父さんを見ていたらここで鍛えた料理の腕前を振る舞いたくなって結局買い物をして実家に行ったの。」

「…なるほど。」

突っ込みどころもあるが、続けて話を聞く。

「まず散らかったキッチンの片付けから取りかかったから結構大変だった。」

正直その辺の話はどうでもいい。

「でね、食事を作って2人でダイニングで食べた。」

「うん、それで?」

「お父さん美味しいって言ってくれたの!とても上達したねって。」

「そっか、良かったね。」
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