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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第45章 無断外泊
「今日のクロッキー会は彼らに任せきりだったけど梨果は大丈夫だったのかい?」

「えっ?…ああ、うーん。」

「一体なんなんだいあの水着は。ヌードは無しとの事だったけどあれじゃ余計に卑猥だ。」

「あはは…あれは富山さんが用意したんだけどね…。」

「強くなったな梨果。モデルとして洋子さんとはまた違った貫禄を感じたよ。」

「えっ、そう?!というと?」

「洋子さんは凛として描き手に邪な気持ちを与えない隙のなさがある反面、梨果は描き手を虜にしてしまう凄さを感じたよ。」

「えへへ、そうかなぁ。」

「……食事が終わったら描かせてもらえないか?」

「えっ?」

「ゆっくり梨果を描きたい。」

「うーん、でもちょっと怖い…。」

父に襲われたことを思い出す。しかも今は2人きりだしもしも襲われても誰にも助けてもらえない。

「もう絶対に手を出したりしないと誓うよ。」

「う、…うん、でも…。」

「頼む!梨果。昼間見た今の梨果の美しさが忘れられない。すぐに描いておきたいんだ。」

老け込んでしまったと思っていた父が以前のように爛々とした姿を見せた。

「…わかった。」

そう言うととても喜んでくれた。父が喜ぶ姿が私としてもとても嬉しく思ってしまう。それが後々の反省点。


「ごちそうさまでした。」

「ありがとう。どれもみんなとてもおいしかったよ。」

「よかった。」

父に誉められると嬉しい。


「私は先にアトリエで待っているから。」

そう言うと父は三階へ上がって行った。
私の中で緊張が走る。
気を紛らわせながら食事の後片付けをした。

ドキドキしていた。父に襲われるかもという恐怖がないとは言えなかった。
襲われそうになったらあの手しかない。男の人は出してしまえばとりあえず落ち着くはず。父だって無闇に娘を傷つけたいとは思うはずない。
おじさんとの約束で他の男性に触れたり触れさせたりは禁じられているけどいざとなったら身を守る為に仕方がないと思った。

食器洗いを終えてコーヒーを二杯分淹れた。それを持って三階の父のアトリエへ向かう。深呼吸してアトリエの扉を開ける。

「お父さん、コーヒー淹れてきたよ。」

アトリエへ入るとストーブが焚かれて暑いくらいだった。これからここで服を脱ぐという現実が叩きつけられる。襲われる恐怖と共に改めて父に身体を見せることへの緊張が加わる。
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