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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第51章 おじさんの正体
彼は自身も過去に受賞した古川英二文学賞の選考委員をやっているらしい。

「あ、そうですか。でもあまり騒がしくなるのはちょっと…。はぁそうですか…渡辺さんがそこまで仰るのなら。ありがとうごさいます。では。」

受話器を置く。

「なんだって?」

そばで聞いていた友也に訊ねられる。

「私の作品の受賞が決定したらしい。」

「凄い賞なの?」

「300万くらい貰えるのかな?」

「さんびゃくまんえん!!毎日女の子とふらふら遊び歩いているだけでさんびゃくまんえん!?」

「こらこら…。」

受賞はありがたいが、何かと騒がしくなりそうで憂鬱だった。友也の言うとおりのんびりと梨果たちと日常を過ごしたかった。

プルルルルルルルル♪

携帯電話が鳴った。梨果からだ…。

「もしもし梨果?!どうした。」

『ごめん、おじさん。お父さんやっぱり家でろくな物食べてないから料理してから帰る。』

「梨果の食事は?」

『一緒に食べてから帰る。いい?』

「…わかった。」

『…ごめんねおじさん。』

「ん。今…服は着ているの?」

『…ううん。着てない。』

「…そか。じゃ。」

辛くなり通話を自ら終わらせた。

「父さん梨果さん?何だって?」

「食事してくるとさ。明日からのテストは大丈夫なのかね?」

「うーん…。」

「じゃあ友也、今夜は2人で食事だ。何食べたい?」

「肉!」

「よし、焼き肉にしよう。買い物いくぞ!」

「うん!」

梨果の自転車を友也に漕がせて後ろに座る。スーパーで買い物をする。友也と並ぶと背丈は私と変わらなくなっていた。


「よーし、焼くぞー。」

帰宅し居間の座卓にホットプレートを用意して2人で焼き肉を食べる。

「野菜も食えよ?」

「わかってるよー。」

「ふふ…。」

「…父さん。」

「ん?」

「俺、奏音との初めてで失敗しちゃって…。」

「というと?」

「い、入れる直前に出ちゃって…その後も勃たなくて。」

「ああ…。緊張しすぎたんだよ。慣れれば大丈夫。」

「せっかくのチャンスだったのに…。」

「奏音さんは何て?」

「気にしないでって言ってくれてるけど情けなくて…。」

「そか、またチャンスあるさ。とにかく出そうになったら別のことを考えるんだ。勉強のこととか部活の事とか。」

「そっか…。なかなかそんな余裕がなくてさ。」
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