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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第52章 あぶな絵の少女
料理が完成し4人で食卓を囲む。

「旨いな。梨果くんも腕を上げたもんだね。」

シチューを口にした妻が梨果を誉める。

「ありがとうございます。でもおじさんの手伝いをしただけなので…。」

「梨果くん。」

「はい?」

「授賞式とその晩餐会は梨果くんが出ておくれ。」

「「えっ?」」

「おいおいちょっと待って、それは配偶者が出るのが通例なんだけど…。」

「別にそれが決まりって訳じゃないでしょう?それに梨果くんが同伴の方が話題になるでしょ。受賞作品の内容からして…ふふ。」

「よ、読んだのかい?」

「ああ、もちろん。」

「うっ…。」

(気まずい…。)

「えっ?どういうことですか?」

困惑する梨果。友也は事を察して固まっている。

「あのヒロインのモデルは梨果くんでしょ?」

「えっ?そうなの?!」

「2人はまだ読んでないのかい?」

「え…ええ。」

梨果と友也が頷く。

「父さんそうなの?」

「さ、さぁ…どうだろうね。読んでのお楽しみということで…。」

「ふふ…。よーし、買ってきた日本酒を飲もう。友也、ぐい飲み2つ。」

「はいはい。」


夜も更け、私も妻も程よく酔いが回っていた。

「まぁ梨果くん、授賞式の件は考えておいておくれ。というかそもそも授賞式の日は私は仕事だ。」

「えっ?!そうなの?」

「だからよろしくー。私はそろそろ寝るよ。おやすみー。」

「えーっ!」

子供たち2人も食事の片付けを終えて各々寝る準備に取りかかっていた。
私も二階に上がり書斎に入った。

(まぁ妻が私の作品を読むのは当然といえば当然か…。)

“あぶな絵の少女”はヒロインの少女と主人公とのいわゆる“濡れ場”のシーンが書かれている。その上で梨果がヒロインのモデルだと言った妻…。

「はぁ…。」

思わずため息がでた。

「でも確かに梨果と授賞式に出たら本がたくさん売れそうだ。」

ただかなり面倒くさいことになりそうだが…。
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