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第52章 あぶな絵の少女

翌朝…

再び４人で食卓を囲む。子供たちはテスト明けの休みに入っていた。

「友也、本読んでみたかい？」

妻が友也に問う。

「え？！あ、うん。」

「ヒロインの花凜は梨果くんがモデルだとは思わなかったかい？」

「えっ？！…いや、ちょっと違うんじゃないかなーと…。」

「はぁ？友也は何を読んだんだい？梨果くんは読み終えた？」

「え…ええ。」

「自分でどう思った？」

「た、確かに年格好は花凜ちゃんとは似た感じですが…私はあんなに素敵で性格のいい女の子ではないです。」

「ほう…。」

淹れたてのコーヒーを妻の前に置く。妻はそれを一口飲む。

「なるほどねぇ…まあいいでしょう。」

「何がよ…。」

「いや、やはり授賞式は梨果くんに行ってもらおう。」

「ええ～！！」

両手をブンブン横に振る梨果。

「ところで賞金は何に使うか。梨果くんは何が欲しい？」

「えっ？！」

「友也は？！」

「いいの？！」

「ええー！私の賞金なのに！」

「私は台所をシステムキッチンにしてほしい。」

と梨果。

「主婦かっ！」

「俺はむしろこの古い家を丸ごと建て替えた方がいいと思う。」

友也、そんな大金は貰えんぞ。

「なんだって？！この家は私の祖父が建てた立派な家なんだぞ。」

そう。ここは妻の実家である。

「その時点で古いじゃん。」

「あはははは。」


昼前に妻は仕事に行ってしまった。

「父さん…。」

妻を見送りそっと呟く友也。

「ん？」

「明らかに花凜は梨果さんがモデルだよね。」

「あ、そう？」

「丸わかりだよ。ね？梨果さん。」

「うーん。そうなのかな？はははは…。」

「……。」