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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第52章 あぶな絵の少女
京都駅に着くと17:00を回っていた。迎えの車に乗り列車内で予約した宿へ向かう。

「当日によく予約取れたね。」

「うん、カード会社様々だね。」

「あー、例のブラックカード…。それでこの車も…。」

「あまり活用する機会がないから本当はいらないんだけどね。周りがうるさくて。」

「“しがらみ”ってやつ?いろいろ大変なんだね。」

「うん…。きっとこれからもっと大変になる。」

「……。」


宿に着いて部屋を案内される。

「ロイヤルスイート!!」

「ね、こうやって勝手に過剰な部屋を手配されるんだよ…。一晩泊まるだけなんだから適当な部屋でいいのに。」

「他に空いてなかったんじゃない?でも凄いよ。ほら外見て!京の街が見渡せるよ。素敵!」

「ふふふ、梨果が喜んでいるならいいか。」

「このあと人に会うの?」

「ああ、19:00にこの近くの料亭で食事をすることになった。」

「どんな人?」

「伝説の芸妓さん。」

「伝説の芸妓さん!どんな知り合いなの?」

「正確には元芸妓さんね。今は置屋の社長さんかな。昔お世話になってね。」

「へー…。なんか緊張する。」

「大丈夫。人をもてなすプロ中のプロだからね。」

「そういうことじゃないの…私お化粧しなくちゃ。」

荷物から化粧ポーチを取り出して急に化粧をしだした。


祇園の料亭に着き門をくぐる。

飛び石を渡り店内に入る。

「おこしやす。お部屋ご案内します。松乃様がいらしてはります。」

案内された個室に和服に身を包んだ松乃がいた。

「松乃さんしばらくです。」

「あらあら一条院先生。お久しゅう。その後お身体の具合はいかがですか?」

「ええ、なんとか生きとります。松乃さんは相変わらずお美しい。」

「寄る年波には敵いません。そうそう、この度は古川賞おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

「あら、そちらのお嬢さんですね?はじめまして、松乃と申します。ここ祇園で置屋の女将をしております。」

「あ、は、はじめまして。梨果と申します。」

急いで畳に膝を着いて深々と挨拶をする。
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