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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第53章 父が描いた私のヌード
緊張が乗り移る。
そしてそっと捲れた布から私の分身が現れた。

「わあぁ凄い…。てか私だね…。」

「そ、そうだね…。」

「裸だね…。」

「そ、そうだね…。」

自身の作品を眺める父を見るとあっという間にズボンの前を膨らませて“ぼっき”していた。絵を布で隠していた理由は別にもったいぶっていた訳じゃなかったのかと理解できた。

「もお、やだあお父さん、自分の描いた絵でおっきくして…。」

「あっ!梨果はそんなとこばかり見て、絵を見ておくれよ。」

「そ、そうだよね…。」

しみじみ自分が描かれている絵を眺める。

「感想は?」

父に訊ねられるが、自分そのものなので何とも言えない。

「私そのものだね。」

「まぁ。でもそれ感想じゃないよね?」

「う、うん…強いて言うなら恥ずかしい。」

「それも梨果の感情であって感想じゃないよね?」

「もう!お父さんうるさいー!」

“裸の私そのもの”これしか言いようがなかった。胸もお尻も誇張されることはなく小さいまま。細かい事を言えば一番コンプレックスな少ない陰毛もそのまま…。

「ここの毛は増やすか無くすかどっちかにならなかったの?中途半端で恥ずかしいんだよね。」

「え?そういうのは仕上げる前に言ってよ。」

「ですよねー…。」

よくみると肌が輝いて見えた。自画自賛とかそういうのではなく純粋に綺麗な絵だなと思った。

「これを展覧会に出展しようと思ってる。」

「え?!」

「だめかな?」

「これを人目に曝すということは私の裸を人目に曝すということでは?」

「いや、これは梨果の裸の絵ではあるけど梨果の裸ではないよ。」

「えっ?」

「えっ?」

「…ちょっと考えさせてもらってもいい?」

「あ、ああ…。」

「おじさんと…あと真田さんと富山さんにも見てもらおうかな…。いい?」

「私はいいけどその3人には見せてもいいんだ?」

「もう散々生身を見られてますからね…。」

「あ、ああ申し訳ない…。」

早速おじさんに電話した。

『どうした?梨果。』

1コールですぐに応答した。おじさんが私を心配してくれているのがしみじみ解る。

「大丈夫だよ。おじさん、今からお父さんの絵を見てほしいんだけど。それと真田さんと富山さんも連れて来れない?」
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