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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第55章 古川賞授賞式
「お待たせしました。一条院先生、会場入りお願いいたします。」

「タレントさんの次に入るのか…。」

「まあまあ。」

大扉が開かれ大きな会場にたくさんの人々が円卓に座っていた。報道陣のカメラの三脚が乱立し、煌びやかなシャンデリアが天井からいくつもぶら下がっていた。

「きゃー腕組んじゃおー。」

「ちょ!梨果。」

腕にしがみつく梨果と会場に入る。まるで結婚披露宴だ。司会者の紹介と拍手の音。ばつが悪くて歩きながらペコペコとしてしまう。
後ろに友也と松乃が付いて来ているのだろうけど気にかけることは出来なかった。

「ふふふっ、おじさんもうちょっと堂々としなよー。」

「梨果さんの言うとおりですよ先生。」

後ろを歩く松乃にも注意されてしまった。

ボーイの案内で円卓に座る。正面には舞台が設営されており、金屏風の前に花をあしらわれたマイクスタンドが立っていた。

私が腰を下ろすと拍手は鳴り止んだが、ザワザワと特に報道陣席が騒がしかった。

(まあ、古川賞受賞者が謎の美少女と腕組んで入場すればそうなるわな…)

式典が始まり主宰者数名の挨拶の後、授与式が行われた。通常壇上には受賞者1人で上がるのだが、なぜか私だけ梨果がついて来た。その時も会場内がざわついた。

「ちょっと梨果だめじゃないか。」

円卓に戻った際梨果を叱る。

「松乃さんと相談して行っちゃえ行っちゃえって事になったの。」

「はあ?松乃さん貴女も意外と悪戯好きなのですね…。」

「うふふ、皆さんの驚く顔が本当に愉快でしたわ。佐藤繁さんに負けないくらい注目されてはりましたよ。」

「なんか梨果さんと松乃さんってよく似てる気がする…。」

友也が呟く。ほんとそれな。簡単にいうと天然の大物気質…。

「それよりおじさん、受賞者挨拶はもっと気の利いたこと言えなかったの?隣で聞いててヒヤヒヤしたよ。佐藤さんとは大違い。」

「人前で喋るのが苦手なのだよ…。」

(タレントと比べないでおくれ…。)

「人前で脱ぐより楽だよ。」

(こら、梨果!しーっ!)
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