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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第56章 古川賞晩餐会
『それでは始めさせていただきます。まず始めに…。』
司会者の進行で挨拶が始まったようだ。
数人の挨拶のあと出版社のVIPが乾杯の音頭をとり、立食形式の晩餐会の始まりだ。室内楽の生演奏が開始され、歓談の時間となる。
「一条院先生、この度はおめでとうございます。お連れのお嬢様は花凜さんですよね。現実にモデルがいたのですね。」
私の所に訪れる人のほとんどの会話がこの一文から始まった。そのたびにロボットのように同じ返答を繰り返した。
「ご想像にお任せいたします。」
作品のコスプレをした少女を連れてのこの返答に全く説得力がなくなってしまったが…。
いつの間にか人との会話が苦手なつまらない私より梨果に直接話しかける人の割合が多くなった。どんなVIPにも臆することなく笑顔で会話する梨果。たちまち人気者になり梨果の周りは常に人集りになってしまった。
「一条院先生。さっきのはあながち冗談ではなくなってきました。」
タレント作家の佐藤繁氏だ。彼の周りにも人であふれていたが、抜け出して私に話しかけてきたようだ。
「文学賞受賞作家が置いてけぼりですよ。ははは。」
カメラマンも梨果に張り付いて写真を撮りまくっていた。
「めちゃくちゃ名刺もらった。」
私の元に戻った梨果が再び腕にしがみつく。その様をカメラにバシャバシャと撮られる。
(あーあ‥予想通りこりゃ大変なことになったな。)
「あれ?このフルートの音色…。」
「ん?」
梨果が室内楽の演奏者の方を見たので私もそちらを向く。
「「あ!!」」
美月だ!美月がフルートの演奏をしていた。
「行こうおじさん!」
梨果に手を引かれ演奏する美月の目の前まで行く。
ドレスに身を包んだ可憐な美月が驚いたように瞳を見開く。そんな美月に手を振る梨果。
「これこれ梨果。演奏中だから邪魔しないの…。」
「一条院先生。この度はおめでとうございます。」
背中から声をかけられた。
(はぁ…、またか。)
同じ会話の繰り返しで辟易していたが愛想も仕事のうちと精一杯の笑顔で振り向いた。するととてつもない大物がそこにいた。
司会者の進行で挨拶が始まったようだ。
数人の挨拶のあと出版社のVIPが乾杯の音頭をとり、立食形式の晩餐会の始まりだ。室内楽の生演奏が開始され、歓談の時間となる。
「一条院先生、この度はおめでとうございます。お連れのお嬢様は花凜さんですよね。現実にモデルがいたのですね。」
私の所に訪れる人のほとんどの会話がこの一文から始まった。そのたびにロボットのように同じ返答を繰り返した。
「ご想像にお任せいたします。」
作品のコスプレをした少女を連れてのこの返答に全く説得力がなくなってしまったが…。
いつの間にか人との会話が苦手なつまらない私より梨果に直接話しかける人の割合が多くなった。どんなVIPにも臆することなく笑顔で会話する梨果。たちまち人気者になり梨果の周りは常に人集りになってしまった。
「一条院先生。さっきのはあながち冗談ではなくなってきました。」
タレント作家の佐藤繁氏だ。彼の周りにも人であふれていたが、抜け出して私に話しかけてきたようだ。
「文学賞受賞作家が置いてけぼりですよ。ははは。」
カメラマンも梨果に張り付いて写真を撮りまくっていた。
「めちゃくちゃ名刺もらった。」
私の元に戻った梨果が再び腕にしがみつく。その様をカメラにバシャバシャと撮られる。
(あーあ‥予想通りこりゃ大変なことになったな。)
「あれ?このフルートの音色…。」
「ん?」
梨果が室内楽の演奏者の方を見たので私もそちらを向く。
「「あ!!」」
美月だ!美月がフルートの演奏をしていた。
「行こうおじさん!」
梨果に手を引かれ演奏する美月の目の前まで行く。
ドレスに身を包んだ可憐な美月が驚いたように瞳を見開く。そんな美月に手を振る梨果。
「これこれ梨果。演奏中だから邪魔しないの…。」
「一条院先生。この度はおめでとうございます。」
背中から声をかけられた。
(はぁ…、またか。)
同じ会話の繰り返しで辟易していたが愛想も仕事のうちと精一杯の笑顔で振り向いた。するととてつもない大物がそこにいた。