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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第56章 古川賞晩餐会
角山会長の登場ですっかり場の雰囲気が変わる。なぜか梨果を一緒に侍らせて挨拶まわりをする角山会長。梨果をかなり気に入った様子だ。

(しかし角山会長…私の梨果の肩に手を置くのはやめてもらいたい。そんなこととても言えないけど…。)

「置いてけぼりにされちゃった。」

「わたくしもですわ。」

「奏音なんなの?その喋り方。」

「公式ではこの喋り方なのですわ、美月さん。」

「あ、そうなんだ。」

奏音と美月と3人で遠くで取り囲まれている梨果の姿を眺める。

「梨果すごい、大勢の大人相手にあんなに笑顔で。」

「てかなんなんですの?あの制服。」

「あれ?知らない?」

「「知らない。」」

「あ、そう…。」

奏音と美月は読んでくれていないようだった。

(まぁほぼ成人向けなんだけどね…。)



嵐のように訪れて嵐のように去って行った角山会長。会場はすっかり元の雰囲気に戻った。
奏音は会長の許可を得てこの場に残ったようだ。

「いやーすごいね。こんな所で私たちが揃うなんて。」

梨果も戻り、食べる暇がなかったという3人娘はビュッフェの料理をつまんでいた。

「ところでお父様はなぜこちらに?」

奏音に訊ねられた。

「え?いやー。梨果の付き添い?」

「何言ってるの?奏音、おじさんは一条院巴なんだよ。」

(えっへん!)

「えーと一条院…ああ!あの官能小説家の!?」

(ガクッ!あのね奏音さんちょっと違うよ。)

「そうそう!」

(…あのね、梨果さん?)

「ふぅー、食べた食べたー。」

(美月さん、食べてないで何とか言って!)

「あ、私まだ出番があるんだった。戻るね。」

美月は持ち場へ戻って行ってしまった。

「とほほ…。」

「さすが美月だよね。中学生なのにこんな一流ホテルの一大イベントで演奏するなんて。」

演奏している美月は普段のガキんちょイメージとはかけ離れた雰囲気を醸し出す。
彼女の出番になると演奏に 聴き入ってしまった。

(ファッションセンターの安パンツなんて買い与えてゴメンね美月さん…。)

人たらしの美少女梨果、音楽の天才美月、そして財界トップクラスの血族の奏音…
3人娘はただ者ではなかった。

(受賞者なのになんでここで劣等感?)
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