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臨時ヌードモデル ~梨果14歳の一年~
第58章 花凜ブーム
「お電話代わりました。ご無沙汰しております、梨果です。…はい、…それはご迷惑をおかけしてすみません。…ええ。はい
、ぜひお願いします。」

(えぇ~…。)

「はい、また詳細は後日ですね。…はい、では失礼します。」

「ちょ!まって。」

手を差し出し電話を受け取る。

「もしもし大久保さん?もしもーし!……ってもう切れてるやん!」

「あれ?ダメだった?」

「いや…、取材受けるの?」

「うん!」

「はぁ…。」

梨果はノリノリだった。

点いたままのテレビには晩餐会での梨果が映っており、番組の出演者が何やかんやとコメントをしていた。

「あーあ、父さんも少女との愛人疑惑をもたれた変態作家と日本中に認識されちゃったね。」

「歴史的文豪は何かとそんなもんだ…。多分…。」

直川賞の時のようにほとぼりが冷めるまで海外に高飛びしたかったが、今は梨果も友也もいるのでそうもいかない。腹をくくるしかない。ここで逃げるのも限界がある。

「編集長に電話してくるよ。」


とりあえずテレビの取材は最初からお断りだが雑誌の取材は受けることにした。
おかげで“あぶな絵の少女”は梨果の話題の効果もあってか増刷を重ねて売上が伸びに伸びたらしい。

一方梨果はテレビ・雑誌とあらゆるメディアに露出した。私が付いていくと巻き添えを食らうのとスケジュールの管理が煩雑になってきたのでマネジメントとして綿貫プロダクションという所を紹介され一時的にお願いした。


「おじさん、相談があるんだけど…。」

「どした?」

梨果と友也と夕食の食卓を囲んでいると畏まって梨果がそう言ってきた。

「雑誌に出てくれないかと依頼が来て。」

「え、また?いいんじゃない?もう散々取材受けてるし。ね、父さん。」

「ああ、いいけど毎回同じこと聞かれてウンザリしない?」

「そうじゃないの。今回のは取材じゃなくて…。」

「なに?」

「えっと…グラビア。」

「「は?」」

「ど、どんな雑誌かにもよるかな。」

「マカロン。」

「「は?!」」

「だからマカロン。」

「「ええーーー!!」」

友也とハモりまくった。

「あのお菓子系制服美少女雑誌のマカロン?!」

友也の鼻息が荒い。

「うん。」

「お、おお…。」

かつて私も興味本位で買った雑誌だった。
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