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第10章 傘貸して

「よう。雨男」

「久しぶり。雨男はてめえだ」

「何度目の運転中止祭りだ？」

「てめえと遊園地行くのそろそろ諦めるか……」

「傘は？」

「ねーよ」

「俺も」

「自覚薄いことで」

「そちらこそ」

「はあ。また乗れないのかよ……四回転」

「んじゃ、とりあえずミラーハウスで」

「ゴールまでの道覚えたろ」

「綺麗だからいーの」

「いーのか」

「そのあと観覧車な」

「素晴らしい絶景だろうな」

「見えないほどの」

「霧が美しいだろうさ」