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第1章 人知れず咲く花

　柳尚宮の指導は厳しかったが、的を得ていて、素晴らしかった。実際、柳尚宮は教養人としても優れていて、書道も裁縫も右に出る者はいなかった。そのような人に熱心に個人教授して貰えたことは、明香のまたとない幸運となった。大勢の女官に立ち混じった中で機転を利かして頭角を表すことなど思いもよらないが、明香の書く手蹟は女性らしい流麗さに溢れ、見事なものだ。