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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~
第4章 心のゆくえ
だが、明香の心には何も届いてはいなかった。中殿―? 正室?
そんなものは、どうでも良い。側室にせよ正室にせよ、自分が権力で好きなようにされる運命だということに変わりはない。
こんな嘘で固められた卑劣な理由で、明香はさながら後宮の囚われ人となり、王に身を投げ出さねばならないのか。
そう思うと、口惜しさとやるせなさが一挙に押し寄せ、明香はとうとう堪(こら)え切れなくなった。大粒の涙が白い頬を次々とつたい落ちる。