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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~
第1章 人知れず咲く花
初めて王にお目見えした日、まだ十五歳の王は屈託ない笑みを浮かべた。
「今度の尚宮は随分と若いな」
明香は、その言葉に危うく笑い出しそうになるのを懸命に堪えた。
二十一歳の明香からみれば、十五歳の王こそ、随分と若い。
王が身に纏う蒼い丈長の袍(ほう)には正面に大きく龍が金糸で縫い取られている。龍は国王の象徴である。明香は大妃の御前に出たことはほんの数えるほどしかないが、その面立ちはよく記憶していた。