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flower
第3章 flower 2

この時集まった金額は約八千万円。
多額の寄付に対してはキャンプ仲間や賛同したボランティアが直接謝礼へと向かった。また直接の現金の受け渡しもあり、その領収書の控えと金額がいよいよ合わなくなるのである。
「こっちは休みを棒に振ってんだよ!」
優哉の友人 里村の言葉は本音か、常識か、は分からない。
経理を担当していたのは美里の親友でもある一條詩織はヒステリックに怒鳴った。
「そういう問題じゃない!」
馬鹿馬鹿しい!以来、里村は姿を見せなくなったが、それでも着服する輩はどうにも後を絶たない。
「どうして直ぐにバレる嘘をつくかな」
嘆いていた詩織には申し訳ないが、美里はそれをどこか他人事のように眺めていた。
今となって思えばこれが現金の魔力というか、数字が示す知られざる現実かも知れない。
一方で脳死の場合には生命保険は降りない。担当者は申し訳なさそうな顔で詫びた。たが、美里はそんな担当者の表情とは裏腹につい微笑んでしまったのは少なくとも優哉は生きている、と実感したからに過ぎない。
有難い事に会社は一旦休職扱いになった。
優哉がいつ目を覚ましても違和感なく元の生活に戻れるように。その奇妙な使命感こそが美里の心を、それこそ壊れそうな心の位置を伝えぬがら奮い立たせていたのだ。
多額の寄付に対してはキャンプ仲間や賛同したボランティアが直接謝礼へと向かった。また直接の現金の受け渡しもあり、その領収書の控えと金額がいよいよ合わなくなるのである。
「こっちは休みを棒に振ってんだよ!」
優哉の友人 里村の言葉は本音か、常識か、は分からない。
経理を担当していたのは美里の親友でもある一條詩織はヒステリックに怒鳴った。
「そういう問題じゃない!」
馬鹿馬鹿しい!以来、里村は姿を見せなくなったが、それでも着服する輩はどうにも後を絶たない。
「どうして直ぐにバレる嘘をつくかな」
嘆いていた詩織には申し訳ないが、美里はそれをどこか他人事のように眺めていた。
今となって思えばこれが現金の魔力というか、数字が示す知られざる現実かも知れない。
一方で脳死の場合には生命保険は降りない。担当者は申し訳なさそうな顔で詫びた。たが、美里はそんな担当者の表情とは裏腹につい微笑んでしまったのは少なくとも優哉は生きている、と実感したからに過ぎない。
有難い事に会社は一旦休職扱いになった。
優哉がいつ目を覚ましても違和感なく元の生活に戻れるように。その奇妙な使命感こそが美里の心を、それこそ壊れそうな心の位置を伝えぬがら奮い立たせていたのだ。

