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flower
第2章 flower
( それにしても、、)
いつからだろうか、この渡辺と話す様になったのは、、そう、、確か、、
( この場所だった、、)
「どうかなさいました?」
渡辺は聞く。
「いえ、、ただ少し疲れて、、」
「そうでしょう、そうでしょう。大変ですからね」
「ええ、、それで奥様、、雪江さんの容態はどうですか?」
美里は意識的に話題を変えた。
「ええ、、こちらも変わらずと言いたいところですがねぇ、、」
渡辺は真っ白な天井を睨み付けていた。
「、、、、ごめんなさい、、私ったら、、」

渡辺の妻 雪江とはこの渡辺を交え何度か言葉を交わしている。
そう、四階の末期がん病棟で。

雪江と美里はある約束をしていた。

「いつも三郎さんの話し相手になってくれてありがとう。いつか必ず、、必ず四人で美味しいお食事に行きましょうね」

( 三郎さんか、、)
それは長年連れ添った夫婦には珍しい呼び方で微笑ましい。ただ化学治療の影響か、雪江の髪は抜け落ち、痛々しいほど肌は蒼く痩せこけていた。
その反面、窪んだ瞳の奥からは並々ならぬ生への渇望を美里ですら容易に感じ取れ、それは本来あるべき生存本能という野生の美しさを彷彿とさせる強い女性だ。

ある若い看護師が言う。

とにかく理想的な夫婦で憧れ

そう、毎日身を粉にして尽くし合う夫婦の姿は不謹慎を通り越して院内では一目置かれていたのだ。

「いえいえ。美里さんが謝る事ではありませんよ。闘病は妻が自ら望んだ事ですから、、あくまで私は尊重するだけです」
「望む、、」

枯れたい!

「美里さん、、どうかしましたか?」
「私、、分からないんです、、もう、、どうしていいか、、分からないんです!」

手元からペットボトルが落ち、一瞬だけ病院内の喧騒が止まった。
いや、止まったような気がした、だけた。
「渡辺さん!お願い!教えて下さい!」
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