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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~
第4章 第三話~砂漠の鷹~
いくら揚ではリーラの樹が自生しているとはいえ、このような町の市で売る安物の香水に真にリーラの花びらが使われているのかどうかは、はなはだ疑わしい。だが、男は今更そんな無粋な問いを口にする気もないらしく、穏やかな微笑をうっすらと髭をたくわえた口許に浮かべているだけだ。
「いや、お褒めにあずかったのは光栄だが、本当に香水など気の利いたものを買い与えるような女はいないのだ」
男は静かに笑いを含んだ声音で断じた。