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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第3章  春の夢 其の参
淋しさと絶望の挙げ句、平常心を失い、狂人となり果て夜毎、町をさまよっていました。亭主が亡くなってから、私が夜通し町をふらついていることを知る者はいません。恐らく、店の者たちも私が半ば狂人のようになっていたのは知らぬことでしょう。―そんな時、あなたに和泉橋のたもとでお逢いしました」
 〝許して下さい〟と、お須万は消え入るような声で言って、その場に両手をついた。
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